唐突ではありますが、ついにBetaに手を出してしまいました。RR2Tなどトップのレースグレードではないですが、ほんまもんの「2st」「レーサー」です。いきなりどうした、アズマケン!
なんでクロストレーナーを買ったのか
まず、クロストレーナー購入前の時点でKTM1190ADVを持っていました。なんですが、このところの週末は完全にオフロード生活リズムになってしまって、ツーリングはおろか全くオンロードでバイクに乗ることはなくなってしまいました。ADVをオフで使う事だってできるわけですけど(数回やったけど)、どうしたって倒しってしまった時の引き起こしもあり、200kg超の巨体はそう簡単には起きてくれません。セローのペースで倒してたら、体力がいくらあっても続かないでしょう。
<いいバイクだったよ、ADV。すまん、でも俺には重かったんだ。。。>
なので、ADVを手放す決意をしました。色々聞いてみると、KTMは全体的にリセルバリュー的にきつい部分があるようです。そんな時、Facebookで私がADVを売ろうとしていることを知った知り合いが興味を持ち、最終的に買ってくれることになったのです。本当に助かりました!ADVもとてもいいバイクだったので、ぜひ可愛がっていただきたいです。
ところで、もう一台の所有バイクであるセローはとにかく素晴らしいバイクだと思います。本当になんでもできる。けれども、私の下手さ具合と相まって、倒した時の引き起こしが続くとかなりしんどいと感じるようになってきました。私の場合パワー不足を感じるとかいうよりも重さでした。そこで、「なんでもできるわけではないが、軽くて瞬発力の走りに徹したレーサー」を手に入れることを検討することになりました。
<セロー、今でも一番信頼できるのは君なんだ、そうなんだけど。。。>
しかし、基本的にオフレーサーは「ピーキー/シート高もすごく高い/扱いにくそう」というようなイメージがありました。しかも私の場合、自走のことも考えないといけないので必然的に国産車が大人の事情で候補から消えることになります。周囲を見渡して見ると、圧倒的に使われているのは2st/4st問わずのKTM FreeRideです。フルサイズレーサーということではないが、レーサーに準じたパワーと扱いやすさを持っていて、私も当初これを勧められました。
なんですが、知り合いのマシンを見ているとブレーキなど結構トラブルもあるようで、かつ現在は250Fという4stモデルになるものの、日本にほとんど入荷していないというような状況でした。また、4stだとセローとの境界線も曖昧になるだろうとも感じていました。(実際ハスクのFE250とかなら明確に違っていたと思いますけど)かといって2stのFreeRide250Rはすでにカタログ落ちしています。
そこで、Betaが候補に上がったんです。正直、私にはスペックとか微妙な違いとか全くわからないし、おそらくサイズの大きいレーサーに乗るなら車高のような問題はどれも同じだろう、それなら「実際に乗っている人たちが1番楽しそうなやつにしよう」と思っていました。
クロストレーナーってどんなバイク?
何故かエンデューロ界隈、特にハードエンデューロライダーには「ドラゴン」と呼ばれています。私は他のレーサーにまともに乗ったこともないので、あくまで初心者目線でどんなバイクなのか(どういうイメージなのか)を書いてみます。
まずBetaというメーカーですが、トライアルバイクで有名なメーカーみたいです。オフロード始めてみて、それまでバイクに長く乗って来たにもかかわらず全く聞いたことがない、あるいはこれまでみてきた雑誌などで登場しないメーカーが沢山あります。ガスガス、シェルコ、フサベル、tmあたりも全く知りませんでした。Betaもその一つでした。(思えば、読んでる雑誌も完全に変わってしまいました)
<これがクロストレーナーMY18!>
実は、セローに乗って一度だけ「Beta祭り」というイベントに出たことがあります。過去に購入したバイクもイベントの影響ってかなり大きくて、KTMやBuellも小規模ながらかなり盛り上がっていました。Beta祭りも、スクール(ここでウブカタジャパンと知り合いました。先生をされていました。)あり、デモンストレーション走行あり、フリー走行ありと盛りだくさんのイベントで、本当に皆さん楽しそうでした。白井修行僧の皆さんのテントに混ぜて頂き色々な話を聞かせていただいて、もしかしてクロストレーナー(以下クロトレ)は次に乗るのにありじゃないか?と思って来ていました。その時はまだまだ先のことだろうと思っていたんですけど。
せっかくの試乗の機会があるのにこの日は時間もなくて試乗せず(自走で白井は遠かった!)帰って色々調べてました。でも、たいてい書いていることには実感はなくて、そういうものなのかー、多分2stだからパワーあるんだろうな、くらいの感じでした。
その後決定的だったのは日野ハードエンデューロの練習で日野カントリーで転けまくった結果、とにかく少しでも軽いバイクじゃないと体力がもたない!感じたことでした。私の場合、諸事情で右肩が上がらず右腕に力が入りにくいのもポイントでした。クロトレはカタログでは100kg切ってます。私の実感値としても、やはりセローと比べて断然に引き起こしや取り回しで軽いと感じました。もちろん転ばせない方がいいわけですけど、練習においてはやはり安心感があります。
何より、購入の理由のところにも書きましたが、乗っている人たちが楽しそうなんです。FUNAIの皆さんもそうですし、数が少ないから目立つというのもあるかもしれませんが、なんか楽しそうだなと思いました。自分が一番最初にやって(しまった)ハードエンデューロ勢に多いのもポイント高いです。皆さん上手いんだと思うんですけどね。
そして購入へ!
そんなこんなで、日野ハードに参加してしばらくした頃に気持ちは固まり、Beta祭りで知り合ったウブカタ・ジャパンさんに相談して各種ガード類などをセットしていただき、我が家にクロストレーナーMY18がやって参りました!
<まだ傷ひとつない納車時のクロトレさん。軽トラ借りて引き取りに行きました。>
で、もちろん乗ってみるわけですけれども、最初のうちは2ストロークそのものに慣れるのが大変なのと、レーサーそのものに慣れることの二重苦でちょいと後悔しそうになりました。。。というかしましたw 後でも書きますが、いかにセローでズボラに乗っていたかを全ての側面で思い知らされることになります。
給油に出るだけで被らせたの巻 pic.twitter.com/ceWwPoDAsA
— Ken Azuma@WEX勝沼90D#745 (@kenazuma) 2018年7月18日
まずは、やっぱりちゃんとわかってない2ストローク車の扱い。買ってすぐにまだトランポがない状態で、給油のためにガソリンスタンド行こうとして走り出したら、いきなり自宅前でモモモモモモ、ストン。。。と被って止まってしまうというやつです。2stの洗礼、とお友達には言われましたが、全くその通りです。セローでも外したことのないプラグを、納車時の工具で泣きながら外して、これまた納車時におまけでもらった6番のプラグに交換しました。今思えば、夜ということもあってできるだけ吹かさないように、セローのノリでエンジンかけてすぐに動き出したのが問題でした。2stの皆さん、始動時に別にイキってパインパインやってるわけじゃないということを身をもって理解した夜でした。。。それ以来、しっかり温めてから数回しっかり吹かして、アクセルについてくることを確認してから動かしています。トランポに乗せる時なんかも、これやらないとひどい目にあいますね。
これも2ストというかキャブ車あるあるですが、燃料コックがある!ので、基本的には停車時にはOFF/始動時にONなんですけども、まぁ忘れてOFFのまま走り出して無慈悲に止まったりするわけです。
ある時なんか、自走で帰宅途中になんかおかしいなぁと思って見てみると、信号で停止した車体の下からボトボトガソリンが吹き出てる!なんじゃこりゃ!と思いながらとりあえずガソリンスタンドに入り、ウブカタさんに連絡してとりあえずの対処を聞きながらだましだまし、燃料タンク開けて見ながらそろそろ家まで帰ったこともあります。ガソリンスタンドのおじさん、「せっかく入れた分、そのペースなら5分くらいで吹いてなくなりそうだね」と笑ってました!この日は猛暑だったんですが、タンクの圧力が高い状態でうまくタンクキャップのエアーが抜けていなかったらしく、おそらくその上転倒などでキャブにゴミが入ってフロートが動いてしまい、ボトボト垂れる事態になってしまったようです。その後再発はなく、タンクキャップも交換してことなきを得たのですが、なかなかビビりました。
そんないきなりお茶目なクロトレさんですが、多少(ホントに多少ね)乗れてくるともちろんいいことがかなりありますよ!
気に入っているところ
軽さ
やはり、この軽さはホントに助かります。最初の練習から、案の定操れてないこともあってたくさんコケてますけど、引き起こしは本当に軽い!駐車場でエンジンのかかっていない状態で押しただけでもわかる軽さです。車体の精度がかっちりしているから動かす時に軽く感じるところもあるかもしれません。
パワーと走破性
で、一捻りパワーすごい!1速でラフに開けるとそれだけでフロントが浮いてきますし、3速ぐらいまでそんな感じが続きます。あくまでもセロー比なんで他の2stと比べてはなんとも言えませんが、急激にパワーが取り出せる感じがします。
また、Beta乗りの皆さんには若干不評なサスに関しても、私のレベルにはものすごいレベルアップで、これまでだったら丁寧にゆっくり走破していたようなガレ場でもとりあえずある程度の速度で走っていればいなしてくれる感じがあります。なかなかビビって開けられないんですけどね。
加えて、強烈にブレーキが効きます。まだまだリアはうまく使えてませんが、フロントが猛烈に効くので、多くの場所では1本指で制御しないと強すぎるくらいの感じです。
スタイリング
ここはもちろん好みの分かれるところだと思うんですけど、僕は赤くなったこの年式のモデルはかっこいいと思いました!日野ハードの時300に乗られている方がいて、いいなーと思いながら写真を撮ったのを覚えてます。ちょい前の世代のRR2Tみたいな感じに見えます。セローは乗りやすさのためにキュッとコンパクトになっているわけですが、クロトレのしっかりフルサイズ感のある車体はかなり気に入ってます。あとはライダーが格好良く見えるように走らせないといけません!
2ストの粘り、2ストの音
一説には「クロストレーナーはセローの上位互換」みたいな話もあるんですが、当初私にはなんのことだかさっぱりでした。確かに、ハンドルの切れ角はセローとまではいかなくても深い方だと思いましたけど。ちょっとでも実感したのは、ガレ場の登りとかで、あぁもうだめだ失速する!というような状況でも「モモモモモ」言いながらなぜかエンストしないんですよね。他の2stに乗られている方に乗ってみてもらうと、やっぱり粘りがある!という感想が多かったのでやっぱり特徴的なんじゃないかと思います。それがわかってからは、一種セローに感じていた安心感のようなものを感じて、安心して登れるようになったんです。(課題はしっかりアクセルを開けて勢いよく登る方のやつ)この感じはすごく気に入ってるところです。
あとは、なんというか、やっぱり2stらしい甲高い排気音がするのは精神的に良いですね。以下自粛。
オーナーはみんな楽しんでいる
繰り返し言ってるこのポイントは本当に大事です。楽しんでるってことは、色々な要素があるわけで、まず情報がある程度手に入ること。TwitterなんかでもBeta、特にX-Trainer関連の情報は手に入りやすいですね。
あとは、信頼できる「実際に走っている人がやっているショップ」が多いこと。私の行ってるウブカタ・ジャパンさん、仙台のトップハードエンデューロライダー、なのに僕のような素人に色々親切に教えてくれるAD/tacさんのStrange Motorcycleさん、多くのエンデューロライダーが信頼を寄せる和田屋さんなど、ショップの方が実際にレースに参戦しているようなお店で取り扱われています。なので、整備の方向性やアドバイスもとても実用的なものなんです。そんなショップに支えられてオーナーは楽しんでいるわけです。
メーカーとしてのBetaさんは一度だけBeta祭りでお世話になったくらいで中の方もよく知らないのですが、在庫があればすぐにパーツも届くみたい(これ大事。KTM時代に身に染みた。)ですし、ディーラーネットワークもしっかりしています。オンロードのバイクとは違うノリですけど、楽しむ中で多くの人が信頼しているメーカーでもあると解釈しています。本国がしっかりしていても、国内の販売代理店がいまいちだとダメな時もある(自分に言い聞かせつつ。。。)ので、その点も安心なんじゃないかと思います。
ちょっと困るところ
乗ってて困るところがもちろんないわけじゃないです。すでに最初の洗礼のところで書いたものが多いですが。
コケるとガソリンが漏れる
キャブ車の運命で、コケると漏れます。なので、冷静にコックをOFFにする必要がありますが、これもこけて焦っていると忘れてそのまま走り出し、やっぱり無慈悲にストンと止まります。当たり前なんですけど。ガソリンコックにわかりやすい大きな色のついた取手でもつけようかな。
振動がすごい
びっくりするくらい振動がすごいです。自走していた時なんかは、ケツや内股の皮がめくれたんじゃないかと思いました。KTMなんかはバランサーがうまくできてるのかそんなに振動しないという話も聞くのですが、レーサーはこういうもんなんだと思い諦めてます。
レーサーらしく気を使わないといけない(ズボラできない)
ここはとても大事なんですが、セローの時はとにかく適当な操作をしていたとしても挙動が穏やかなので、なんやかんやで吸収して前に進んでくれるようなところがありました。ところが、ブレーキが効く/パワーがある/軽いということで、一つ一つの動作を丁寧にしないとすごくギクシャクするし、乗ってるライダー側も疲れます。今までもできていた方が良かったことにごまかしが効かなくなるという意味では、養成ギプスみたいなところもありますね。セローならその重みを生かしてトラクションがかかっていたようなところも、しっかりポジションを合わせないといけません。
結局気に入ってるのだ!
色々書きましたが、なんやかんや厳しいところがあっても、そのほとんどはライダーが状況に慣れておらず、スキルが足りないから。スタイリングも含めて僕はこのバイクが気に入っているんです。少しずつ安心感も感じられるようになってきたし、 これから長い付き合いになるんじゃないかと思います。
<傷がつくたびにステッカーが増えることになっております。タイヤはVE33sに!>
そうそう、トラックのゲートも閉めることができたし!おっと、そのネタは次回にとっておきます。